エスファハーンからローカルバスを乗り継いで、念願のサルアガセイエッド村にたどり着きました。サルアガ村は、屋根が通り道や中庭としても機能しているという独特の建築方法で造られた、絶景の村です。
同様の建築方法の村はイランの他の地域にもありますが、これだけの規模と美しさをもつ村はサルアガ村が一番だと思います。
ネットで見て、何年も前から憧れていたサルアガ村。実際に訪れてみるとその美しさに感動した部分と、落胆した部分の2つ感じました。
【場所】サルアガセイエッド
【滞在日】2019年8月17~19日
【通貨】1$=42,000リアル(公定レート)1$=117,500リアル(闇両替レート)1$=108.5円
※イランには2種類の通貨があります。紙幣はリアル。店舗での記載は基本的にトマン。10リアル=1トマンです。
1.サルアガセイエッド村への行き方
エスファハーンを拠点に2泊3日滞在しました。こちらにまとめています。
2.サルアガセイエッド村での日々
2-1.まるで迷路のような村散策
村に到着してお世話になったのは、民泊先のデイビット。
サルアガ村の家の作りは独特。急斜面に家を建てるため、屋根の上に道路・家があるという特徴的な構造になっています。人々が屋根の上の道路を歩いている風景はまるでゲームの世界のよう。
写真で見るよりもずっと素敵な景色。
サルアガ村には、平らな道があまりないのでリュックサックだけで身軽な格好が良いです。
階段があったり、道が何本もあったり、天井付きの道を通ったりとまるで迷路です。一人では絶対に迷います。
階段状に造られた村の中は迷路ですが、まるで探検しているようで、サルアガ村の散策は楽しい時間でした。
警察署も学校も存在しない村ですが、モスクはあります。
住民は目が合うとニコッとと笑いかけてくれます。
村を歩いていると、「おいでおいで」と家に招いてもらいチャイをご馳走してもらうことが何度も。お陰でチャイでお腹いっぱいになります。
時にはご飯も。村の人口が多くないからか、殆どデイビットと知り合いです。
村の西側に歩いていくと、緑が広がっています。村にとって重要な、水が湧く場所も。
そして日暮れ時のサルアガ村。
渓谷にある村。不思議な景色です。本当はさらに西側に行くと、この村の名所、salt springがあるのですが、時間の関係で行くのをやめました。
高台から見渡すと、殆どの家、そして歩く人を眺めることが出来ます。まるで小人を見ているような感覚に。ぼーっと村を眺めていると、子供の声や家畜の鳴き声、いろいろな音が聞こえます。
この絶景を前にするとあっという間に時間が経ちました。
ある日の夕ご飯は家の前で焼いたケバブ。冷凍された鶏肉1匹丸ごとをさばいて炭火でじっくりと。絶品です。
ホシュレテ・ゴルメサブズィー(豆と肉の煮込み料理)。イラン料理の定番。ご飯には水分が少ないのでこのホシュレテをご飯にかけて混ぜながら食べます。
ドゥーグ。イランでは食事と一緒によく飲まれる、ヤギの飲むヨーグルトのようなもの。ただ、日本のものに比べて酸味・塩気が強く少し好き嫌いが分かれる味です。癖があるけど、なんとか飲める味。
2-2.結婚パーティーを見学
salt springに行く時間が無くなったのは、滞在中の2日間、新婚夫婦のお祝いがあったから。折角なので2日間参加させてもらいました。
人だかりに近づいていくと…。
大音量の音楽と、踊っている村人たち。
村自体が大きくないので、村民は家族のようなもの。さらにイラン人はダンスが大好きなので、大勢の人がお祝いに、そして見学に来ていました。
↑は1日目の写真。結婚祝いということで、カラフルな衣装を着た女性が多くいます。
祝いの場なので、無料の炊き出しが行われていました。
ご飯の下にはヤギ肉。祝い事の時にはヤギ肉が振舞われるそうです。柔らかくて少し弾力があります。
外で食べる時も、やはり下に絨毯を敷きます。
↑2日目。イランではスパンコールで装飾された布を持って踊ります。赤・青とカラフルなのは「バクティアリ」という伝統的な衣装。
正直、丸2日も屋外で祝いの催し物が行われるってすごいと感じました。イラン人は「トゥルルルルルル」いう甲高い裏声を出して盛り上げます。そして、イラン人女性の頭に巻かれたスカーフは踊っても全く崩れません。
2日目の午後、新婚カップル2人は華やかに装飾された車に乗って村を出発します。新婚旅行へ行くようです。新婚旅行の出発まで、歌とダンスでの祝いは続けられていました。
3.サルアガ村の治安について
サルアガ村に行く前に、ホームステイ先で聞いたのは「サルアガ村は警察がいないし、無法地帯。殺人もあるらしい。犯罪も多く危ないので行ってはダメ」ということ。
ただ実際に行ってみた感想としては、危険な雰囲気は全く感じませんでした。殺伐としているというよりも、むしろ長閑な田舎町の雰囲気。(ただ最低限、貴重品の管理は徹底しました。)
英語を話せる子にこのことを聞いてみると、「ここには盗難も殺人もない。平和だよ」と。何故か村の内外で意見の食い違い。彼曰く、「観光客がサルアガ村に来てお金を落とすことに対して嫉んでいるから嘘をつくんだ」と。そして、「ここ(サルアガ村)のことはあまり村の外では言わないでね」と。
ただホームステイ先で教えてくれた家族は嘘をついているようには見えず、完全に信じ込んでいるようでした。つまりサルアガ村を訪れたことのない周辺の街の人たちは、サルアガ村が危ないと信じているということ。
あくまで個人的な予想ですが、サルアガ村は想像していた以上に閉鎖的な村社会なのではないかと感じました。(外国人に対しては好意的です。)
また治安上は全く問題なさそうですが、「観光地化問題」については残念ながら実感してしまいました。
サルアガ村は土産屋も、ホテルもなく素朴な村。しかし村を歩いていると、老婦人に親指と人差し指をスリスリしてお金を要求されたり、チャイをご馳走になっている時にその家の子供が同じように指をスリスリしてきたり、大丈夫と伝えているにもかかわらず荷物を運んでチップを要求してきたり…。
イランに来てお金をお金を催促されたこと自体が初めてだったので驚きました。おそらく、外国人があまり訪れていなかった数年前にはなかったであろう光景。
外国人が増えることによって、良い意味でも悪い意味でも変わってしまうことを残念に思いました。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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